Japanische Klassiker mit Furigana
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あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
Lesen Sie 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.586 Zeichen · 159 Bildschirme
仕立直しのモンペ姿もきちんとして、何やら四角な風呂敷包を背負った様子は、買出しでなければ、自分と同じように行商でもしているのかと思われた。
「おかみさん、もう此方へ帰って来たんですか。」
「いいえ。まだあっちに居ます。」
「あっちとは。あの、行徳ですか。」
「ええ。」
「じゃ、あれッきり分らないんですか。」
「いっそ分らない方がいいくらいでした。警察で大勢の死骸と一緒に焼いてしまったんだろうッて云うはなしです。」
「運命だから仕方がありませんよ。わたしの方も今だにわからずじまいですよ。」
「お互にあきらめをつけるより仕様がありませんねえ。わたし達ばっかりじゃないんですから。」
「そうですとも。あなたの方が子供さんが助かっただけでも、どんなに仕合せだか知れませんよ。わたしに比べれば……。」
「思出すと夢ですわね。」
「何か好い商売を見つけましたか。」
「飴を売って歩きます。野菜も時々持って出るんですよ。子供の食料代だけでもと思いまして……。」
「わたしも御覧の通りさ。行徳なら市川からは一またぎだ。好い商売があったら知らせて上げましょうよ。番地は……。」
「南行徳町□□の藤田ッていう家です。