Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜんぞうをおもう
善蔵を思う
Lesen Sie 善蔵を思う (ぜんぞうをおもう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.041 Zeichen · 29 Bildschirme
薔薇は、菰に包まれて、すべて一尺二、三寸の背丈で、八本あった。花は、ついていなかった。
「これからでも、咲くでしょうか。」蕾さえ無いのである。
「咲きますよ。咲きますよ。」私の言葉の終らぬさきから、ひったくるように返事して、涙に潤んでいるような細い眼を、精一ぱいに大きく見開いた。疑いもなく、詐欺師の眼である。嘘をついている人の眼を見ると、例外なく、このように、涙で薄く潤んでいるものである。「いいにおいが、ぷんぷんしますぞ、へえ。これが、クリイム。これが、うす赤。これが、白。」ひとりで何かと、しゃべっている。嘘つきは、習性として一刻も、無言で居られないものである。
「この辺は、みんな、あなたの畑なんでしょうか。」かえって私のほうが、腫物にでも触るような、冷や冷やした気持で聞いてみた。
「そうです。そうです。」すこし尖った口調で答えて、二度も三度も首肯した。
「家が建つのだそうですね。いつごろ建つの?」
「もう、間も無く建ちますよ。立派な、お屋敷が建つらしいですよ。ははは。」男みたいに不敵に笑った。
「あなたがたのお家じゃないんですね。それじゃ、畑をお売りになっちゃったというわけですね。