Japanische Klassiker mit Furigana
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うそアつかねえ
嘘アつかねえ
山本 周五郎
Lesen Sie 嘘アつかねえ (うそアつかねえ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.523 Zeichen · 24 Bildschirme
喚きだすんだ、町内じゅうが眼をさますような声で、ありッたけのざんそと悪態を並べるんだ、そうしてから、……それから云うんだ、戸が閉っててはいれなきゃはいるにゃア及ばねえ、どうせくらい酔ッてるんだから外で寝て酔を醒ますがいい、あたしの知ったこッちゃねえよッてさ」
松の両方の眼から、そのとき涙がだらしなくこぼれ落ちた。太くて黒くてがさがさに節くれ立った指の手の平を返して頬を撫で、それから湯呑のもう底になったのを啜った。
「おふくろが寝返りをうつまで、おらあ黙って動かねえ、それからそおッと寝床をぬけ出すんだ、そおッとよ、……そして勝手口をあける、そろそろとあけるんだ、……父は寒そうな恰好で尻尾を垂れた迷子犬みてえに、しょんぼりと闇の中に立ってる、……おらあ低い声で呼ぶんだ、父、……早くはいんなよ、早く、ああ、……旦那がもしこいつを知ったら、そうしたおれの式が嘘でねえ、むりはねえッてことがわかって貰える筈なんだ、おらあそれだけは云わずにゃいられねえんだ」
信吉は爺さんにめくばせをして、空になった彼の湯呑へもう一杯「強いの」を注がせた。松は急に顔の紐を解き、眼尻を下げて、片方の手で濡れた頬を擦りながら、ぺちゃぺちゃと音をさせてそれを啜った。