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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふんすいものがたり

噴水物語

岡本 かの子

Lesen Sie 噴水物語 (ふんすいものがたり) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.604 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

不思議なことにそれに見惚れている間は何秒であるのか、何分であるのか、天地の物音はぴたりと音を止めたようになって、見ている者の意識に入らないのです。この間の恍惚の痺れ。これを何に譬えたらいいでしょうか。幻想を起さす為めに世紀末のフランスの廃頽詩人たちが喫んだアッシという土人の煙草なぞはおよそ不健康な恍惚の痺れです。噴水の恍惚は醒めたあと愈々精神を明澄にします」

ちょうどこの時分英国にはコナン・ドイルの神秘主義というものが流行っていた。舞台へ空の椅子を置いて、死人の魂を呼び戻すと称する集りなどが行われていた。私はエドナ夫人に「あなたはドイルの神秘主義を信奉なさいますか」と訊いてみた。夫人は「あんな通俗なもの、単なる霊媒術です」と言った。そして「私のは合理に拠る美的判断の結果、粗物を棄捨した現実脱化です。心理学的方法はリップスに拠りますが、むかしの羅典民族と同じエスプリです。詩人の魂です」と言った。

こういう話をする間、ロジャー氏は独りでぶつぶつ言いながら新噴水にかかずらっていた。その後、二三度訪ねたが、ロジャー氏は屋根を天文台のように蒼穹抜きにしてみたり、ステインド硝子を窓に嵌めたりしていた。