Japanische Klassiker mit Furigana
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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
Lesen Sie 四十八人目 (よんじゅうはちにんめ) von 森田 草平 (もりたそうへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.183 Zeichen · 112 Bildschirme
と考えてみずにはいられなかった。「俺はいったいあの女をどうしようと思っているのだ?」それには彼も自分ながら返辞ができなかった。
「可哀そうに」と、しばらくして彼はまた考えつづけた、「あの女も今に及んで俺がどんな心を抱いて、どんな苦しみを嘗めているか、まるで知らないでいるのだ! こんな便りない男を手頼りに生きてきて、その男さえこの世にいなくなったら、これから先どうして生きて行くだろう? 考えてみれば、まったく不仕合せの女には相違ない!」
ふと、「あの女を殺したら?」というような気が心のどこかでした。「そうだ、いっそのこと、あの女を手に懸けて殺したら、俺も本気で死ぬ決心がつくかもしれない」
が、そう思うと同時に、彼は自分でも自分の残忍な心に吃驚したように飛び上った。これまで自分の本心を明さないで、始終欺き通しに欺いてきた上に、最後に自分が死の覚悟をする手段として、相手の女を手に懸けようとする? 俺の心は鬼か蛇か。まったく自分ながら愛憎の尽きた男だ!
彼は眼を瞑ってその心を払い退けようとした。いっそこのまま女の顔を見ないで引返してしまおうかとも思ってみた。