Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よんじゅうはちにんめ

四十八人目

森田 草平

Lesen Sie 四十八人目 (よんじゅうはちにんめ) von 森田 草平 (もりたそうへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.183 Zeichen · 112 Bildschirme

Aozora Bunko

彼としては、何よりもおしおにした約束を果さなかったことが気に懸った。こうなれば、あの女はもう自分の死後も自分の妻と名告ることはできない。妻も子も永遠に日蔭の身である。もっとも、同志の士は皆妻子を離別してきたというが、それとこれとは話が違う。あの女は一生己れを扶助してくれるはずの良人を失った上に、しかもその良人を誰と名指すこともできない。そして、その名指されぬ良人の子を繊弱い女手一つで育てて行かなければならない――これから先永い永い一生の間! あの女としては、そんな思いをして生きて行くよりも、自分の妻として、公然お上のお咎めに逢いたかったかもしれない。お咎めに逢って、もしお仕置になるものならなって死にたかったかもしれない。それを知りながら、せっかく石町まで出かけて行って、何にも言わずに還ってきた自分はいったいどうしたというのだろう?

「どうかしたら」と、彼はまた一人で考えつづけた、「俺は太夫にそんな内情まで打明けるが恐ろしかったのではないか。そんな内情まで打明ければ、俺は義理にも太夫に背くことができなくなる。もちろん、俺は太夫を裏切るような気はない。