Japanische Klassiker mit Furigana
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しじゅうねんまえのエキスカージョン
四十年前のエキスカージョン
和辻 哲郎
Lesen Sie 四十年前のエキスカージョン (しじゅうねんまえのエキスカージョン) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.026 Zeichen · 7 Bildschirme
そういう状態で薬師寺へついた時には、わたくしはまた新しい活気のある気持ちになっていた。東塔のあの変化の多い姿、東院堂の聖観音のあの堂々とした姿、特に金堂の薬師如来のあの渾然とした、なんとも形容のしようのない姿に対しては、わたくしは実際に驚嘆の念を抱くことができたのである。それには、折柄の西日が、あの薬師如来の黒い銅の肌に、きわめて適当な照明を与えていたということも、あずかって力があったであろう。それは法隆寺から歩いて来たという偶然が作り出した効果なのであった。
もう夕暮れになったので急いで唐招提寺に回り、急いで金堂や講堂の中を見せてもらったが、なんといってもここの見ものは建築であるから、夕方の光でも不自由なく、心行くばかりあの堂々とした姿を味わうことができた。
がそれだけでわたくしたちは引き上げたわけではない。唐招提寺を西の方へぬけると、今電車線路のあるあたりを通って、すぐ垂仁陵のそばに出る。その垂仁陵が実に美しい姿をしていることに、わたくしは虚を突かれたような驚きを感じた。それは予定の内にはいっていなかったのである。それに反して、そこから北へまた十町ほど歩いて、西大寺の中へはいって見た時には、案外に何もないのに失望した。