Japanische Klassiker mit Furigana
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よっかのあやめ
四日のあやめ
山本 周五郎
Lesen Sie 四日のあやめ (よっかのあやめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.200 Zeichen · 38 Bildschirme
「帰っていいだろうか」と重三郎が云った。
「いいだろう」と主税介が云った、「但し離別うんぬんは取消していってくれ」
「明日、挨拶に来る」
重三郎はついにこちらを見ずに出ていった。
その夜半、――千世の寝間へ主税介が入っていった。千世は眠っていた。長いあいだの精神的な苦しみから解放されて、いかにも安心しきったような寝顔であった。主税介は夜具の衿に手をかけた。すると千世が眼をさました。熟睡からさめて、良人がそこにいることを認めると、彼女はすぐに起きあがった。
「そのままでいいんだ」
「いいえあちらで」千世は両手で抱きついた。寝衣の袖がずれて、腕がすっかり裸になった。彼女はその裸の腕で良人に絡まりながら、うっとりとした声で囁いた、「わたしあちらのほうが好き、あなたの匂いのするお寝間のほうが、ねええ」
「こうか」と主税介が云った。
「ああ」と千世が云った、「あなた」
主税介は妻を抱えて自分の寝間へ戻り、あいだの襖を閉めた。