Japanische Klassiker mit Furigana
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そうせきしとわたし
回想 子規・漱石
高浜 虚子
Lesen Sie 回想 子規・漱石 (そうせきしとわたし) von 高浜 虚子 (たかはまきょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.187 Zeichen · 231 Bildschirme
居士の健啖は最早余の及ぶところではなかった。
人も無し木陰の椅子の散松葉 子規
涼しさや松の落葉の欄による 虚子
などというのはその頃の実景であった。初め居士の神戸病院に入院したのは卯の花の咲いている頃であったが、今日はもう単衣を着て松の落葉の欄によるのに快適な頃であった。居士がヘルメット形の帽子を被って単衣の下にネルのシャツを来て余を拉して松原を散歩するのは朝夕の事であった。余はかくの如く二、三日を居士と共に過ぐしていよいよ帰東することになった。
いよいよ明朝出発するという前の日の夕飯に居士は一つか二つか特別の皿をあつらえた。それから居士は改まって次のような意味の事を余に話した。
「今度の病気の介抱の恩は長く忘れん。幸に自分は一命を取りとめたが、しかし今後幾年生きる命かそれは自分にも判らん。要するに長い前途を頼むことは出来んと思う。それにつけて自分は後継者という事を常に考えて居る。折角自分の遣りかけた仕事も後継者がなければ空になってしまう。御承知の通り自分には子供がない。親戚に子供は多いけれどそれは大方自分とは志を異にしている。そこでお前は迷惑か知らぬけれど、自分はお前を後継者と心に極めて居る。