Japanische Klassiker mit Furigana
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そうせきしとわたし
回想 子規・漱石
高浜 虚子
Lesen Sie 回想 子規・漱石 (そうせきしとわたし) von 高浜 虚子 (たかはまきょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.187 Zeichen · 231 Bildschirme
そうして私と別離を叙して後に氏はその二人の婦人を随えて改札口を奥へ這入って行った。一人の婦人は二十格好の年の若い人であった。他の一人の婦人は五十格好のやや老いた人であった。私は漱石氏の後ろ姿を見送ると同時にこの二人の婦人の後ろ姿をも見送って暫く突っ立っていた。そうしてこの二婦人が漱石氏とどういう関係の人であろうかということを考えるともなく考えた。その時の漱石氏と若い婦人の面に表われた色から推して、
「奥さんを貰ったのかな。」と考えた。奥さんを貰うというような話は今まで一言も聞かなかったのである。しかしながらどうもこれはそう判断するより外に考えのつけようがなかった。後になってこの想像は正しい想像であって、その若い婦人が今日の夏目未亡人、老婦人の方が未亡人の母堂であることを明かにした。
右の光景を記憶して居るところから言っても、漱石氏が新妻迎えのため熊本から一度上京したことだけは疑いのない事柄であるが、その他にも上京したことがあったかどうか、それは私には分らない。
さて私は明治三十一年の十月に『ホトトギス』を東京で発行するようになり、今までの暢気な書生生活を改めて真面目に仕事をせなければならぬことになって、その事務所を一時神田の錦町に置き、間もなくそれを猿楽町に転じた。