Japanische Klassiker mit Furigana
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こんわくのべん
困惑の弁
Lesen Sie 困惑の弁 (こんわくのべん) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.945 Zeichen · 8 Bildschirme
実に、困惑するのである。
私は、悪名のほうが、むしろ高い作家なのである。さまざまに曲解せられているようである。けれども、それは、やはり私の至らぬせいであろうと思っている。実に、むずかしいものである。私は、いまは、気永にやって行くつもりでいる。私は頭がわるくて、一時にすべてを解決することは、できぬ。手さぐりで、そろそろ這って歩いて行くより他に仕方がない。長生きしたいと思っている。
そんな情態なので、私は諸君に語るべきもの、一つも持っていない。たったひとつ、芥子粒ほどのプライドがあると、さっき書いたが、あれもいまは消し去りたい気持ちである。ばかな苦労は、誇りにならない。けれども私は、藁ひとすじに縋る思いで、これまでの愚かな苦労に執着しているということも告白しなければならない。若し語ることがあるとすれば、ただ一つ、そのことだけである。私は、こんなばかな苦労をして、そうして、なんにもならなかったから、せめて君だけでも、自重してこんなばかな真似はなさらぬようにという極めて消極的な無力な忠告くらいは、私にも、できるように思う。燈台が高く明るい光を放っているのは、燈台みずからが誇っているのでは無くして、ここは難所ゆえ近づいてはいけませんという忠告の意味なのである。