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Japanische Klassiker mit Furigana

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『つち』について

『土』に就て

夏目 漱石

Lesen Sie 『土』に就て (『つち』について) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.185 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

其時心のうちでは、随分「土」に比べると詰らないものも公けにされる今日だから、出来るなら何時か書物に纏めて置いたら作者の為に好かろうと思ったが、不親切な余は其日が過ぎると、又「土」の事を丸で忘れて仕舞った。

すると此春になって長塚君が突然尋ねて来て、漸く本屋が「土」を引受ける事になったから、序を書いて呉れまいかという依頼である。余は其時自分の小説を毎日一回ずつ書いていたので、「土」を読み返す暇がなかった。已を得ず自分の仕事が済む迄待ってくれと答えた。すると長塚君は池辺君の序も欲しいから序でに紹介して貰いたいと云うので、余はすぐ承知した。余の名刺を持って「土」の作者が池辺君の玄関に立ったのは、池辺君の母堂が死んで丁度三十五日に相当する日とかで、長塚君はただ立ちながら用事丈を頼んで帰ったそうであるが、それから三日して肝心の池辺君も突然亡くなって仕舞ったから、同君の序はとうとう手に入らなかったのである。

余は「彼岸過迄」を片付けるや否や前約を踏んで「土」の校正刷を読み出した。思ったよりも長篇なので、前後半日と中一日を丸潰しにして漸く業を卒えて考えて見ると、中々骨の折れた作物である。