Japanische Klassiker mit Furigana
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トソンラン
土城廊
金 史良
Lesen Sie 土城廊 (トソンラン) von 金 史良 (きむさりゃん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.752 Zeichen · 52 Bildschirme
「う……全く……」
気をもんでいた元三は呻くように独りごとを云った。
とうとう婦は逃げるように転がり出て来た。だがそれでも負けずに先達の怒りに煽りをかけて悪たれをつく。
「そんげに亭主風が吹かしたけりゃ稼いで来たらええでねえか、毎日さ、よくも人の米をふんだくるだよ! ……」
思わず爺は胸にどきっとこたえるものを感じて首をひっこめた。実は今日先達が持ち帰った米にしても自分の稼ぎ分で、いつものように先達に買わされたからである。だが元三は息を殺し再び首を突き出しておずおず入口の隙間から外を垣間見た。雨が降っているのに婦は上体に何も着けていなかった。それがぶよぶよと動いているのを見ると、爺はねばっこい唾をごくりと呑み込んだ。婦は何かをぶつぶつ呟きながら土鍋を持ち抱えて来る。それで爺は心持ち腰を浮したが、すぐに思い返したように手を揉んで再び坐り直った。土鍋を抱え麓の川に下りて粟をとぎ水を汲んで来るのがいつもの彼の役目だったが、ふと先達に悪いと思ったからである。
「爺や、水を汲んで来な」
婦はぶっきらぼうに先達にまで聞えるような大きな声で叫ぶ。先達は元三が自分の婦のためにそんなことをするのをひどく嫌うのだった。