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Japanische Klassiker mit Furigana

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もぐらとらくばん

土鼠と落盤

黒島 伝治

Lesen Sie 土鼠と落盤 (もぐらとらくばん) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.823 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は、汽車の窓から見た湘南のうらゝかな別荘地を思い浮べた。金がない者は、きら/\した太陽も、清澄な空気も、それをむさぼり取ることが出来ない。彼は、これからさき、幾年、こんなところで土を掘りつゞけなけりゃならんか分らない。それを思うとうんざりした。しまいには、落盤にへしゃがれるか、蝕ばまれた樹が倒れるように坑夫病で倒れるか、でなければ、親爺のように、ダイナマイトで粉みじんにくだかれてしまうかだ。

彼等は、恋まで土鼠のような恋をした。土の中で雄が雌を追っかけた。土の中で雄と雌とがちゝくり合った。タエは、石をいじる仕事にも割合荒れない滑かな肌を持っていた。その肌の下にクリ/\張りきった肉があった。彼女は、かびくさい坑道を別な道から足音かるくやって来た。井村は、斜坑を上り切ったところに待っていた。彼は、タエが、そこへやって来るのを知っていた。その淀んだ空気は腐っていた。湿気とかびの臭いは、肺が腐りそうにひどかった。しかし、彼は、それを辛抱した。

彼女はやって来ると、彼の××××、尻尾を掴まれて、さかさまにブラさげられた鼠のようにはねまわった。なま樹の切り口のような彼女の匂いは、かびも湿気も、腐った空気をも消してしまった。