Japanische Klassiker mit Furigana
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ちのしおぶんがくのしお
地の塩文学の塩
宮本 百合子
Lesen Sie 地の塩文学の塩 (ちのしおぶんがくのしお) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.809 Zeichen · 8 Bildschirme
将来の文学の流れに流れ入る一つの要素となっているのである。
火野葦平は、帰って来たときすぐ朝日新聞に「帰還兵の言葉」というものを発表した。そのなかに、あちらにいたときは物資が欠乏しているということを頻りにきかされていたところ、帰って見たら物資は店頭にあふれていて、これでこそ興亜の大業に進む国の姿であると愉快に思ったという意味が語られていた。私たち一般人の生活の日常では、炭や米の問題が旺におこって来たこの二ヵ月ばかり前のことであった。そして、そういう火野葦平の文章ののっている朝日の同じ紙面のすぐ側に、米の配給に関する困難打開会議の記事も出ていた。「帰還兵の言葉」の筆者は、一つ紙面にそのように並びあってあらわれた、自分の言葉の内容とその隣りの記事の内容とを、この現実のなかでのこととして、どんな感慨をもって見較べたことであろうか。
文芸の成長の真のモメントは、案外こういうところでの自分の姿に人間らしく吐胸をつかれる敏感さに潜んでいるのであろうと思う。
あちらの兵士たちは、これまで日記をつけていたものは破棄するように云われているという事をきいた。それには、それだけの必要があるからのことであろう。