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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちはゆたかなり

地は饒なり

宮本 百合子

Lesen Sie 地は饒なり (ちはゆたかなり) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.874 Zeichen · 57 Bildschirme

Aozora Bunko

『早速実行せよ』

と云われた。開いて見ると、国中の人民は一人残らず耳殻を切り取れ。なぜなれば、神の選び給いし国王に耳殻が与えられていないのは、それが無用の長物であることの動かすべからざる証である。慈悲深い王は、我が愛する国民に、無用の長物を負担させて置くに忍びない。と書いてある。

自分の耳を切るのは厭だったので、総理大臣も一生懸命に忠告した。けれども、王様は神の命令であると云って取り合われないので、とうとう仕方なくその日から国中の人民が、泣きながら、耳殻を切られた。

十日ほど経って、王様は国を巡邏されて、どこもかしこも、自分と同じ者ばかりで、もう一言の悪口も聞かれないのに、すっかり満足させられて、思わず王笏を振りあげながら、万歳! と叫ばれた。そして、彼は、もう世の中のあらゆる不幸を忘れてしまった。

ところがその年の暮れに、急に隣国の兵が攻め寄せて来た。王様は早速、適当な兵を送り出して置いて、いつもの通り瞬く間に勝って来るのを、王宮の暖いお寝間の中で待っておられた。

けれども、どうしたのか、兵は、却って隣国の者に追いまくられ、散り散りばらばらになってしまったので、また、二度目の出兵が必要になった。