Japanische Klassiker mit Furigana
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じごくかいどう
地獄街道
海野 十三
Lesen Sie 地獄街道 (じごくかいどう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.814 Zeichen · 22 Bildschirme
辻永の探偵眼に圧倒された気味で、私はそのうしろについてユダヤ横丁を通りぬけた。まだ空は薄明るかったが、いい気持はしなかった。
辻永は左右へ眼を配りながら、黙々と歩いてゆく。
そのうちに、あたりはいよいよ暗くなってきた。どこからかピストルの弾丸が風をきって飛んできそうな気がしてならぬ。わが友はその中を恐れもせず、三度ユダヤ横丁を徘徊した。
「オヤッ――」
私は駭きを思わず声に出した。辻永が急に活発に歩きだしたのだ。どうやら何か又新しい手懸りを掴んだものらしい。
その辻永が再びゆっくりした歩調に返ったのは、ユダヤ横丁をとおり抜けた先に沢山に押並んだ小さい二階家の前通りだった。歩いてゆくと、とある家の薄暗い軒下に一人の女が立っていた。まるまると肥った色の白そうな女だった。年の頃は十八か九であろう。透きとおるような薄物のワンピースで。――向うではこっちを急に見つけた様子をして、ものなれたウィンクを送った。
「上ろう。いいか」
辻永は私の耳許に早口で囁いた。しかし私は辻永のような実践的度胸に欠けていた。
「やめちゃいけないか」
「じゃ斯うしろ」辻永はやや声を震わせて云った。