Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
さかたのばあい
坂田の場合
豊島 与志雄
Lesen Sie 坂田の場合 (さかたのばあい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.335 Zeichen · 29 Bildschirme
だけど……だけど、あたしそんなつもりじゃなかったんです。兄はあんなだし、嫂さんはあんなだし、病気のお母さんがお気の毒で……お母さんのためになら、二百円くらい……あなたにとっては何でもないお金高だから……お願いしてもいいと思ったんですの。だけど、もういいんです。あたしの思い違いだってこと、よく分りました。もう決して……お願い致しません。軽蔑していらっしゃるんなら、それを……お返ししておきます。」
坂田は腕をくんで考えこんでいた。彼女の言葉を聞いていたのかいないのか、長く黙りこんでしまった。それからふいに、立上って歩きだした。そしてぽつりと、石でも投げるように云った。
「あなたはそれでよく我慢が出来ますね。」
敏子はちらっと彼の方を見たが、彼の言葉は通じなかったらしく、また顔を伏せて唇をかんだ。
坂田は歩きながら、独語の調子で云いだした。
「私にはよくこういうことがあります。カフェーだとか、レストーランだとか、表に硝子戸がたっていて、そこから往来が見える……そういうところにじっとしているのが好きで、そして往来を見ていると、いろいろな人が通るんです。菓子屋で幾銭かの菓子を買って、その紙袋を風呂敷に包んで、大事そうに抱えて行くお上さんがあります。