Japanische Klassiker mit Furigana
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こうふ
坑夫
Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme
ところが案に相違して、談判を持ち込まれた飯場頭は――飯場頭だか何だかその時は無論知らなかった。眉毛の太くって蒼髯の痕の濃い逞しい四十恰好の男だった。――その男が長蔵さんの話を一通り聞くや否や、
「そうかい、それじゃ置いておいで」
とさも無雑作に云っちまった。ちょうど炭屋が土釜を台所へ担ぎ込んだ時のように思われた。人間が遥々山越をして坑夫になりに来たんだとは認めていない。そこで自分は少々腹の中でこの飯場頭を恨んだが、これは自分の間違であった。その訳は今直に分る。
飯場頭と云うのは一の飯場を預かる坑夫の隊長で、この長屋の組合に這入る坑夫は、万事この人の了簡しだいでどうでもなる。だからはなはだ勢力がある。この飯場頭と一分時間に談判を結了した長蔵さんは、
「じゃ、よろしくお頼みもうします」
と云ったなり、赤毛布と小僧を連れて出て行った。また帰ってくる事と思ったが、その後いっこう影も形も見せないんで、全く、置去にされたと云う事が分った。考えるとひどい男だ。ここまで引っ張って来るときには、何のかのと、世話らしい言葉を掛けたのに、いざとなると通り一片の挨拶もしない。それにしてもぽん引の手数料はいつ何時どこで取ったものか、これは今もって分らない。