Japanische Klassiker mit Furigana
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こうふ
坑夫
Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme
自分の言いたい事が何の苦もなく口を出るに連れて――ある人はある場合に、自分の言いたくない事までも調子づいてべらべら饒舌る。舌はかほどに器械的なものである。――この器械が使用の結果加速度の効力を得るに連れて、自分はだんだん大胆になって来た。
いや、大胆になったから饒舌れたんだろう、君の云う事は顛倒じゃないかとやり込める気なら、そうして置いてもいい。いいが、それはあまり陳腐でかつ時々嘘になる。嘘と陳腐で満足しないものは自分の言分をもっともと首肯くだろう。
自分は大胆になった。大胆になるに連れて、どうしても坑夫に住み込んでやろうと決心した。また饒舌っておれば必ず坑夫になれるに違ないと自覚して来た。一昨日家を飛び出す間際までは、夢にも坑夫になろうと云う分別は出なかった。ばかりではない、坑夫になるための駆落と事がきまっていたならば、何となく恥ずかしくなって、まあ一週間よく考えた上にと、出奔の時期を曖昧に延ばしたかもしれない。逃亡はする。逃亡はするが、紳士の逃亡で、人だか土塊だか分らない坑掘になり下る目的の逃亡とは、何不足なく生育った自分の頭には影さえ射さなかったろう。