Japanische Klassiker mit Furigana
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こうふ
坑夫
Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme
休もうかな、廃そうかなと、通り掛りに横目で覗き込んで見たら、例の袢天とどてらの中を行く男が突然こっちを向いた。煙草の脂で黒くなった歯を、厚い唇の間から出して笑っている。これはと少し気味が悪くなり掛ける途端に、向うの顔は急に真面目になった。今まで茶店の婆さんとさる面白い話をしていて、何の気もつかずに、ついそのままの顔を往来へ向けた時に、ふと自分の面相に出っ喰したものと見える。ともかく向うが真面目になったのでようやく安心した。安心したと思う間もなくまた気味が悪くなった。男は真面目になった顔を真面目な場所に据えたまま、白眼の運動が気に掛かるほどの勢いで自分の口から鼻、鼻から額とじりじり頭の上へ登って行く。鳥打帽の廂を跨いで、脳天まで届いたと思う頃また白眼がじりじり下へ降って来た。今度は顔を素通りにして胸から臍のあたりまで来るとちょっと留まった。臍の所には蟇口がある。三十二銭這入っている。白い眼は久留米絣の上からこの蟇口を覘ったまま、木綿の兵児帯を乗り越してやっと股倉へ出た。股倉から下にあるものは空脛ばかりだ。いくら見たって、見られるようなものは食ッ附いちゃいない。