Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうふ

坑夫

夏目 漱石

Lesen Sie 坑夫 (こうふ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.690 Zeichen · 283 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして昨夜の柱の所へ行った。柱に倚りかかった。家が恋しくなった。父よりも母よりも、艶子さんよりも澄江さんよりも、家の六畳の間が恋しくなった。戸棚に這入ってる更紗の布団と、黒天鵞絨の半襟の掛かった中形の掻捲が恋しくなった。三十分でも好いから、あの布団を敷いて、あの掻捲を懸けて、暖たかにして楽々寝て見たい、今頃は誰があの部屋へ寝ているだろうか。それとも自分がいなくなってから後は、机を据えたまんま、空ん胴にしてあるかしらん。そうすると、あの布団も掻捲も、畳んだなり戸棚にしまってあるに違ない。もったいないもんだ。父も母も澄江さんも艶子さんも南京虫に食われないで仕合せだ。今頃は熟睡しているだろう。羨ましい。――それとも寝られないで、のつそつしているかしらん。父は寝られないと疳癪を起して、夜中に灰吹をぽんぽん敲くのが癖だ。煙草を呑むんだと云うが、煙草は仮託で、実は、腹立紛れに敲きつけるんじゃないかと思う。今頃はしきりに敲いてるかも知れない。苦々しい倅だと思って敲いてるか、どうなったろうと心配の余り眼を覚まして敲いてるか。どっちにしても気の毒だ。しかしこっちじゃそれほどにも思っていないから、先方でもそう苦にしちゃいまい。