Japanische Klassiker mit Furigana
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つぼたじょうじのあじ
坪田譲治の味
尾崎 士郎
Lesen Sie 坪田譲治の味 (つぼたじょうじのあじ) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.124 Zeichen · 11 Bildschirme
その頃、誰かが私に伝えたことがある。『尾崎がまるで君を親戚みたいにいっていたぞ』これを聞くと田舎者の私は郷里の親類づき合いのことを考え、お彼岸には草もちや、おはぎを重箱に入れて尾崎家へ持ってゆこうと思った。その思いが、そのとき私を大へん楽しくさせた。然し、その後、一度もそんなものを持っていったことはない。私たちの交りは淡として水のごとし。君子の交りである」
私は、いつか、ずっと年古りてから坪田君のことを、じっくりと思いだし、彼との交遊の楽しさを幾つかの時代に分類して書いてみたいと思ったことがある。すでに三十年前の話である。もちろん、私は坪田君よりも長く生きることを信じていた。当時は彼のいうがごとく、彼が三十四で私が二十六だとすれば、彼が四十四の歳には私はまだ三十六である。彼が五十四で私は四十六。彼が六十四になると、私はやっと五十六になるわけであるが、そんなに長く人間が生きられるなぞということは夢にも考えなかった。先ず、いかに慾ばって考えたところで、私が四十六、彼が五十四というあたりで、彼のために弔詞をよむ日が必ず来るであろうと思っていた。思っていたどころではない。