Japanische Klassiker mit Furigana
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つぼたじょうじのあじ
坪田譲治の味
尾崎 士郎
Lesen Sie 坪田譲治の味 (つぼたじょうじのあじ) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.124 Zeichen · 11 Bildschirme
もっとも、落第生といったところで、成績不良で進級の機会を逸したというのではなく、病気で欠席が多かったり、故意に試験をうけなかったりしているうちに年月が過ぎてしまったのである。もっとハッキリいうと、彼は私たちの早稲田在学時代には、すでに卒業していて、仲間といっしょに出した「地上の子」という同人雑誌に名作「正太の馬」「友情」その他の作品を発表していた。その頃の文壇生活は、一つの時代をつらぬく雰囲気が欝然とした垣をつくっていて、これを外から乗り越えてゆくのは容易な仕事ではなかった。私の解釈をもってすれば、坪田君は文学への操節を全うするために、自ら文壇の外に生きようという決心をしたらしい。それが、うまくゆかなくて、また文壇へ引返してきたときである。その頃、自然主義から新現実主義的な傾向に転化した文壇に、ロマンチックな作風をもって孤立していた小川未明氏の門をたたく青年が多かった。坪田君は在学時代から未明先生の直系であり、師事することすでに十余年に及んでいた。私は、この年代に坪田君と知合いになった。本来ならば、坪田先生とか坪田さんとか呼ぶべきであるが、この質実謙虚な大先輩は、一段高いところから青二才の私を見下そうとする気持をどこにも持っていなかった。