Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほうおんき

報恩記

芥川 竜之介

Lesen Sie 報恩記 (ほうおんき) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.803 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

いや、それよりも大事なのは、去年この「さん・ふらんしすこ」の御寺へ、おん母「まりや」の爪を収めた、黄金の舎利塔を献じているのも、やはり甚内と云う信徒だった筈です。

しかし今夜は残念ながら、一々そう云う行状を話している暇はありません。ただどうか阿媽港甚内は、世間一般の人間と余り変りのない事を信じて下さい。そうですか? では出来るだけ手短かに、わたしの用向きを述べる事にしましょう。わたしはある男の魂のために、「みさ」の御祈りを願いに来たのです。いや、わたしの血縁のものではありません。と云ってもまたわたしの刃金に、血を塗ったものでもないのです。名前ですか? 名前は、――さあ、それは明かして好いかどうか、わたしにも判断はつきません。ある男の魂のために、――あるいは「ぽうろ」と云う日本人のために、冥福を祈ってやりたいのです。いけませんか?――なるほど阿媽港甚内に、こう云う事を頼まれたのでは、手軽に受合う気にもなれますまい。ではとにかく一通り、事情だけは話して見る事にしましょう。しかしそれには生死を問わず、他言しない約束が必要です。あなたはその胸の十字架に懸けても、きっと約束を守りますか? いや、――失礼は赦して下さい。