Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほうおんき

報恩記

芥川 竜之介

Lesen Sie 報恩記 (ほうおんき) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.803 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、――しかし倅も不運なやつでございました。いや、倅ばかりではございません。わたしもあの阿媽港甚内に一家の没落さえ救われなければ、こんな嘆きは致しますまいに。いくら未練だと思いましても、こればかりは切のうございます。分散せずにいた方が好いか、倅を殺さずに置いた方が好いか、――(突然苦しそうに)どうかわたしを御救い下さい。わたしはこのまま生きていれば、大恩人の甚内を憎むようになるかも知れません。………(永い間の歔欷)

「ぽうろ」弥三郎の話

ああ、おん母「まりや」様! わたしは夜が明け次第、首を打たれる事になっています。わたしの首は地に落ちても、わたしの魂は小鳥のように、あなたの御側へ飛んで行くでしょう。いや、悪事ばかり働いたわたしは、「はらいそ」(天国)の荘厳を拝する代りに、恐しい「いんへるの」(地獄)の猛火の底へ、逆落しになるかも知れません。しかしわたしは満足です。わたしの心には二十年来、このくらい嬉しい心もちは、宿った事がないのです。

わたしは北条屋弥三郎です。が、わたしの曝し首は、阿媽港甚内と呼ばれるでしょう。わたしがあの阿媽港甚内、――これほど愉快な事があるでしょうか? 阿媽港甚内、――どうです? 好い名前ではありませんか? わたしはその名前を口にするだけでも、この暗い牢の中さえ、天上