Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうおんき
報恩記
Lesen Sie 報恩記 (ほうおんき) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.803 Zeichen · 30 Bildschirme
が、甚内は不相変、黙然と口を噤んだまま、冷やかにわたしを見ているのです。わたしはその話をしてしまうと、一層膝を進ませながら、甚内の顔を覗きこみました。
「北条一家の蒙った恩は、わたしにもまたかかっています。わたしはその恩を忘れないしるしに、あなたの手下になる決心をしました。どうかわたしを使って下さい。わたしは盗みも知っています。火をつける術も知っています。そのほか一通りの悪事だけは、人に劣らず知っています。――」
しかし甚内は黙っています。わたしは胸を躍らせながら、いよいよ熱心に説き立てました。
「どうかわたしを使って下さい。わたしは必ず働きます。京、伏見、堺、大阪、――わたしの知らない土地はありません。わたしは一日に十五里歩きます。力も四斗俵は片手に挙ります。人も二三人は殺して見ました。どうかわたしを使って下さい。わたしはあなたのためならば、どんな仕事でもして見せます。伏見の城の白孔雀も、盗めと云えば、盗んで来ます。『さん・ふらんしすこ』の寺の鐘楼も、焼けと云えば焼いて来ます。右大臣家の姫君も、拐せと云えば拐して来ます。奉行の首も取れと云えば、――」