Japanische Klassiker mit Furigana
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しおばな
塩花
豊島 与志雄
Lesen Sie 塩花 (しおばな) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.421 Zeichen · 25 Bildschirme
いま山口は、得意でもあり不満でもあった。精神的貞節論に知名の先輩達が賛成してくれたのが得意であり、それを戦争犯罪などに自ら結びつけたのが不満だった。それは彼の身心清潔法の一部を成すもので、恋人の前でこそ語るべきものだったのである。
得意と不満との交錯は彼を大胆ならしめた。彼はそこにあった庭下駄をつっかけて、外に出た。一面に斜陽を浴びた庭はなにか寒々としていた。その彼方、袖垣の向うに、濃い煙がたち昇っていて、子供の笑い声がした。その方へ彼は歩いていった。
空樽や木の株がころがってるその空地の真中で、落葉が焚かれていて、煙りがちなのを、男の子が頬をふくらまして吹いていた。
「焚火をしているのかい。どれ……。」
山口は木の小枝をとって、煙ってる落葉をかきたてようとした。子供はそれを遮った。
「いけないよ。」
「だって燃えないじゃないか。」
「いけないよ。」
積みかさなって煙ってる落葉を、子供はしきりにかばう様子だった。
のびのびと発育した体躯の大きな子で、もう学齢ほどらしいのに、長い髪の毛を女の子のように額に垂らしていた。織目の見える古生地の粗服を着ていたが、それと対照に、ふっくらとした頬が如何にも瑞々しかった。