Japanische Klassiker mit Furigana
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しおばな
塩花
豊島 与志雄
Lesen Sie 塩花 (しおばな) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.421 Zeichen · 25 Bildschirme
山口自身の家庭では、両親の厳格な監督のもとに、そういう無頓着さは許されなかったのである。それと対照して、彼女のやり方は全く愛すべき子供っぽさだと、彼には思われた。ひいては、彼女のあの返事も、決定的なものではなくて、なにか子供っぽい愛すべきものではなかったであろうか。
彼は自分の話し方が拙劣だったのを認めた。そしてこの自分の失策を認めることが、今は却って幸福だった。単に話し方がいけなかったのである。恋にふさわしい清らかな身の持ち方をしていることなど、そういうことを先ず語るべきであろう。
彼は上衣の胸ポケットのハンカチで、決して使わないつもりだったハンカチで、汚れた手を丁寧に拭き、そのハンカチをズボンのポケットにつっこんで、しっかり立ち直った。そしてなお暫くその辺を歩いてから、座敷の方へ戻っていった。
斜陽は赤みを帯び、物蔭は暗かった。
来客はもう帰りかけていた。波多野未亡人は忙しそうに往き来していた。
そういうことをも、やはり意に介しないかのように、井野氏はまだ碁に耽っていた。山口はその側に坐りこんで、ビールを井野氏についでやり、自分も飲んだ。まだ居残ってもよい気がしたし、彼女にもなお逢いたかったし、どうせ辞去するにしても、誰か有名な人と一緒になりたかった。