Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Lesen Sie 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.485 Zeichen · 93 Bildschirme
竜太郎は、思わず卓の上に乗り出した。
「そのひとは、ブロンドですか」
「さよう。美しいブロンドです」
「美しい娘さんですか」
「私共では、いちばん美しい娘です。年齢は今年二十歳。……まだ独身です。愛人がいるという話もききませんから、どちらかと言えば、気立はいい方なのですが、何しろ、気まぐれで……」
「その娘さんは……」
「昨日、南仏から帰ってまいりました。奥に居りますが、なんなら……」
(あの夜の少女は、気紛れなマネキン!……)
竜太郎は、激情をおさえるために、眼を閉じた。
(たとえ、なんであろうと!)
ささやくような声で、いった。
「どうぞ、そのひとを、ここへ」
クンケルは、電話で何か命じた。……
間もなく、扉を叩く音がする。竜太郎は椅子から飛び上った。
扉が開いて、軽々とした足音がこちらへ近ずいて来る。竜太郎は、どうしても眼を開けてそちらを見ることが出来なかった。クンケルが、いった。
「まいりました」
竜太郎が、おそるおそる眼をひらく、卓の向う側に、どこか険のある、美しい顔だちの娘が立っていた。
竜太郎は、力の抜けたような声で、いった。
「このひとではありません」