Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Lesen Sie 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.485 Zeichen · 93 Bildschirme
赤土の裸の丘と、嶢※たる岩地。
陽が暮れかけてきて、天地の間の沈鬱なようすは一層ひどくなった。うち沈み、歎き、悼み、一瞥にさえ心の傷む風景だった。
竜太郎は、車窓の窓掛をひき、固い隔壁に凭れて眼をとじる。
バルカンの沈鬱な風景も、荒々しい気質も、猥雑な乗客の群も、竜太郎になんの感じもひき起こし得なかった。巴里の里昂停車場を発ってから、この三日の長い旅の間、竜太郎の思いは、たったひとつのことに凝集されていた。それは、(戴冠式の馬車に向って、真直ぐに歩いて行こう)ということである。
……白い鳥毛の扁帽を冠った前駆の侍僮が、銀の長喇叭を吹いて通りすぎる。……ピカピカ光る胸甲をつけた竜騎兵の一隊。……十二人の楯持が二列になって徒歩でつづく。王室の紋章を金糸で刺繍した美々しい陣羽織組。……槍の穂先をきらめかす儀仗の小隊。それから、いよいよ戴冠式のお馬車がやってくる。六頭の白馬に輓かせた金の馬車の中に、あの夜の少女がもの佗びた面もちで乗っている。
……一人の若い東洋人が、群集と警衛の憲兵の人垣の間から飛び出し、ゆっくりと馬車に向って歩いてゆく。……たぶん、五六歩。