Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Lesen Sie 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.485 Zeichen · 93 Bildschirme
ちょうど、天の啓示でも受けたように、薄目をあけていた昔の心が、いっぺんに覚醒する。
竜太郎は、うめくように、呟いた。
「しみったれた真似はよせ! なによりも、じぶんらしく、日本人らしく、多少、気概のある行動をして見せろ。ひと目見たら死ぬにしても、そうでなくては、浮ばれないぞ」
じぶんにとっては、あの少女は、ひと夜さ同じ夢をみたひとりの女にすぎない。むこうが王女なら、こちらも、日本の男いっぴき、なにもコソコソするにはあたらない。正面きって、大威張りで会いに行こうじゃないか。
(どうぞ、いつまでも、変らないで、ちょうだい)
有頂天な囈言だなどとは思うまい。心情の美しく高い飛躍にとって、こういうケチな反省ぐらい邪魔なものはない。そのままに信じて、会いに行こう。
気概はどうあろうと、こちらは一介の国際的ルンペン。一国の王女と結婚しようなどという無邪気なことは考えまい。もっと高く、もっと美しく、断末魔の間一髪に、この恋愛を完成させよう。
澎湃たる熱情の波にゆられながら、竜太郎は叫ぶように、いった。
「よし、戴冠式の行列を擁してやろう!」
舗石をおれの胸の血で染めて、日本人はどんな恋愛の仕方をするものか見物させてやろう。