Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Lesen Sie 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 46.485 Zeichen · 93 Bildschirme
十
竜太郎は、悪臭のする、じとじとと湿った敷藁のうえで、ボンヤリと眼を開いた。灰色の軍用混凝土で塗りかためられた穹窿形の天井が低く垂れさがり、やや隔ったところで、裸の電灯がひとつ冷酷な光を投げていた。ムッとするような体臭と人いきれと、長い廊下の方から来る、地下室に特有な冷湿な風と馬尿の匂いが複雑に混淆して、強く鼻孔を刺戟した。
ガランとした部屋の中には二十人ばかりの人がいる。穹窿の太い柱に背をもたせて撫然としているものもあれば、リズミカルな歩調で壁にそって歩きまわっているものもある。円座になった七八人の一団。腕を組合せて立っている二人。その奥の人影は朦朧と影のようにゆらめいていた。しめやかとも言えるような空気がこの広い場所を領し、廊下を振子のように往復する重い靴音だけが、浮き上るように響いていた。天井が陰気な谺をかえした。
竜太郎は、藁の上に片肘を立てようとしたが、右腕も左腕も全然用をなさなくなっているのに気がついた。両腕ばかりではない、肘を起そうとした途端に、骨を刻むような鋭い疼痛がきた。頭が割れるように痛み、咽喉はひりつくような激しい渇きをおぼえた。