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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいしょくかもなんばん

売色鴨南蛮

泉 鏡花

Lesen Sie 売色鴨南蛮 (ばいしょくかもなんばん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.926 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

で、宗吉がこれを買いに遣られたのが事の原因であった。

何分にも、十六七の食盛りが、毎日々々、三度の食事にがつがつしていた処へ、朝飯前とたとえにも言うのが、突落されるように嶮しい石段を下りたドン底の空腹さ。……天麩羅とも、蕎麦とも、焼芋とも、芬と塩煎餅の香しさがコンガリと鼻を突いて、袋を持った手がガチガチと震う。近飢えに、冷い汗が垂々と身うちに流れる堪え難さ。

その時分の物価で、……忘れもしない七銭が煎餅の可なり嵩のある中から……小判のごとく、数二枚。

宗吉は、一坂戻って、段々にちょっと区劃のある、すぐに手を立てたように石坂がまた急になる、平面な処で、銀杏の葉はまだ浅し、樅、榎の梢は遠し、楯に取るべき蔭もなしに、崕の溝端に真俯向けになって、生れてはじめて、許されない禁断の果を、相馬の名に負う、轡をガリリと頬張る思いで、馬の口にかぶりついた。が、甘さと切なさと恥かしさに、堅くなった胸は、自から溝の上へのめって、折れて、煎餅は口よりもかえって胃の中でボリボリと破れた。

ト突出た廂に額を打たれ、忍返の釘に眼を刺され、赫と血とともに総身が熱く、たちまち、罪ある蛇になって、攀上る石段は、お七が火の見を駆上った思いがして、頭に映す太陽は、血の色して段に流れた。