Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのよのぼうけん
夏の夜の冒険
平林 初之輔
Lesen Sie 夏の夜の冒険 (なつのよのぼうけん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.930 Zeichen · 12 Bildschirme
――…………
――この近所で君のことを何と言ってるか君は知ってるか? 鬼だと言ってるよ。君の子供は昨日から何も食べないで、かわいそうにひょろひょろして線路の土手にねていたんだ。
――すみません。
――すみませんじゃないよ。おかしいね、君は、子供のことをちっともさっきからたずねないね。子供の居場所がわかったら、ちっとはうれしそうな顔をして、はやく子供の顔を見たがりそうなものなのに、ちっともうれしくないのかね? 他人ですら、みんな心配して、いろいろ世話をしてくれているんだよ。隣近所の人だって、みんな気にしてああして起きてきているんだ。それなのに一体、母親はどうしたんだ? 君の細君はどうしたんだ?
玄関の次の室につってある蚊帳の端っぽが、開いた襖から見えた。その中で突然わっと女の泣き声が爆発した。
急に劇的な場面が現出した。細君がくしゃくしゃの浴衣のままで玄関へ飛びだしてきた。
――わたしが悪うございました……
彼女は泣きながら何か口の中で弁解をはじめた。話できいた時には、殺してもあきたりない奴だと思ったが、実際あってみると、それ程どなりつけるわけにもゆかない。