Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
Lesen Sie 夏の花・心願の国 (なつのはな) von 原 民喜 (はらたみき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.816 Zeichen · 310 Bildschirme
(そうだったのか、これからもやはり食事が毎日ここで行われるのか)と彼はぼんやりそんなことを考えていた。……心のなかで何かが音もなく頻りに崩れ墜ちるようだった。ふと机の上にある四五冊の書籍が彼の眼にとまった。それはみな仏教の書物だった。その年の夏に文化映画社に入社して以来、機械や技術の本ばかり読まされていた彼は、ふと仏教の世界が探求してみたくなった。それは今現に無慙な戦争がこの地上を息苦しくしている時に、嘗ての人類はどのような諦感で生きつづけたのか、そのことが知りたかったからだ。だが、病妻の側で読んだ書物からは知識の外形ばかりが堆積されていたのだろう。それが今、音もなく崩れ墜ちてゆくようだった。彼はぼんやりと畳の上に蹲っていた。
それは樹木がさかさまに突立ち、石が割れて叫びだすというような風景ではなかった。いつのまにか日が暮れて灯のついた六畳には、人々が集って親しそうに話しあっていた。……東京からやって来た映画会社の友人は、彼のすぐ横に坐っていた。ことさら悔みを云ってくれるのではなかったが、彼にはその友人が側に居てくれるというだけで気が鎮められた。