Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
Lesen Sie 夏の花・心願の国 (なつのはな) von 原 民喜 (はらたみき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.816 Zeichen · 310 Bildschirme
それは冗談らしかったが、ひどく真顔のようでもあった。……しばらく待っているうちに火葬はすっかり終っていた。竈のところへ行ってみると焦げた木片や藁灰が白い骨と入混っていた。義母はしげしげとそれを眺めながら骨を撰り分けた。彼もぼんやり側に屈んで拾いとっていたが、骨壺はすぐに一杯になってしまった。風呂敷に包んだ骨壺を抱えて、彼は植込の径を歩いて行った。すると遽かに頭上の葉がざわざわ揺れて、さきほどまで静まっていた空気のなかにどす黒い翳りが差すと、陽の光が苛立って見えた。それはまた天気の崩れはじめる兆だった。こういう気圧や陽の光はいつも病妻の感じやすい皮膚や彼の弱い神経を苦しめていたものだ。(地上には風も光ももとのまま)そう呟くと、急に地上の眺めが彼には追憶のように不思議におもえた。
持って戻った骨壺は床の間の仏壇の脇に置かれた。さきほどまで床の間にはまだ明るい光線が流れていたのだが、いつの間にかそのあたりも仄暗くなっていた。外では雨が降りしきっていた。湿気の多い、悲しげな空気は縁側から匐い上って畳の上に流れた。時折、風をともなって、雨はザアッと防空壕の上の木の葉を揺すった。