Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
Lesen Sie 夏の花・心願の国 (なつのはな) von 原 民喜 (はらたみき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.816 Zeichen · 310 Bildschirme
なるほど戦局は苛烈であり、空襲は激化の一路にあります。だが、いかなる危険といえども、それに対する確乎たる防備さえあれば、いささかも怖るには足りないのであります」
そう云いながら、彼はくるりと黒板の方へ対いて、今度は図示に依って、実際的の説明に入った。……その聊かも不安もなさげな、彼の話をきいていると、実際、空襲は簡単明瞭な事柄であり、同時に人の命もまた単純明確な物理的作用の下にあるだけのことのようにおもえた。珍しい男だな、と正三は考えた。だが、このような好漢ロボットなら、いま日本にはいくらでもいるにちがいない。
順一は手ぶらで五日市町の方へ出向くことはなく、いつもリュックサックにこまごました疎開の品を詰込み、夕食後ひとりいそいそと出掛けて行くのであったが、ある時、正三に「万一の場合知っていてくれぬと困るから、これから一緒に行こう」と誘った。小さな荷物持たされて、正三は順一と一緒に電車の停車場へ赴いた。己斐行はなかなかやって来ず、正三は広々とした道路のはてに目をやっていた。が、そのうちに、建物の向うにはっきりと呉娑娑宇山がうずくまっている姿がうつった。