Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

Lesen Sie 夏の花・心願の国 (なつのはな) von 原 民喜 (はらたみき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.816 Zeichen · 310 Bildschirme

Aozora Bunko

姉は私の来たことを知ると、

「どんな顔をしてるのか、こちらへ来て見せて頂だい、あんたも病気だったそうだが」と蚊帳の中から声をかけた。

話はあの時のことになった。あの時、姉たちは運よく怪我もなかったが、甥は一寸負傷したので、手当を受けに江波まで出掛けた。ところが、それが却っていけなかったのだ。道々、もの凄い火傷者を見るにつけ、甥はすっかり気分が悪くなってしまい、それ以来元気がなくなったのである。あの夜、火の手はすぐ近くまで襲って来るので、病気の義兄は動かせなかったが、姉たちは壕の中で戦きつづけた。それからまた、先日の颱風もここでは大変だった。壊れている屋根が今にも吹飛ばされそうで、水は漏り、風は仮借なく隙間から飛込んで来、生きた気持はしなかったという。今も見上げると、天井の墜ちて露出している屋根裏に大きな隙間があるのであった。まだ此処では水道も出ず、電燈も点かず、夜も昼も物騒でならないという。

私は義兄に見舞を云おうと思って隣室へ行くと、壁の剥ち、柱の歪んだ部屋の片隅に小さな蚊帳が吊られて、そこに彼は寝ていた。見ると熱があるのか、赤くむくんだ顔を茫然とさせ、私が声をかけても、ただ「つらい、つらい」