Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

Lesen Sie 夏の花・心願の国 (なつのはな) von 原 民喜 (はらたみき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.816 Zeichen · 310 Bildschirme

Aozora Bunko

この辺の印象は、どうも片仮名で描きなぐる方が応わしいようだ。それで次に、そんな一節を挿入しておく。

ギラギラノ破片ヤ

灰白色ノ燃エガラガ

ヒロビロトシタ パノラマノヨウニ

アカクヤケタダレタ ニンゲンノ死体ノキミョウナリズム

スベテアッタコトカ アリエタコトナノカ

パット剥ギトッテシマッタ アトノセカイ

テンプクシタ電車ノワキノ

馬ノ胴ナンカノ フクラミカタハ

ブスブストケムル電線ノニオイ

倒壊の跡のはてしなくつづく路を馬車は進んで行った。郊外に出ても崩れている家屋が並んでいたが、草津をすぎると漸くあたりも青々として災禍の色から解放されていた。そして青田の上をすいすいと蜻蛉の群が飛んでゆくのが目に沁みた。それから八幡村までの長い単調な道があった。八幡村へ着いたのは、日もとっぷり暮れた頃であった。そして翌日から、その土地での、悲惨な生活が始った。負傷者の恢復もはかどらなかったが、元気だったものも、食糧不足からだんだん衰弱して行った。火傷した女中の腕はひどく化膿し、蠅が群れて、とうとう蛆が湧くようになった。蛆はいくら消毒しても、後から後から湧いた。そして、彼女は一カ月あまりの後、死んで行った。