Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

Lesen Sie 夏の花・心願の国 (なつのはな) von 原 民喜 (はらたみき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.816 Zeichen · 310 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は帰京してから、それを次のように書いた。

水ヲ下サイ

アア 水ヲ下サイ

ノマシテ下サイ

死ンダホウガ マシデ

死ンダホウガ

アア

タスケテ タスケテ

水ヲ

水ヲ

ドウカ

ドナタカ

オーオーオーオー

オーオーオーオー

天ガ裂ケ

街ガナクナリ

川ガ

ナガレテイル

オーオーオーオー

オーオーオーオー

夜ガクル

夜ガクル

ヒカラビタ眼ニ

タダレタ唇ニ

ヒリヒリ灼ケテ

フラフラノ

コノ メチャクチャノ

顔ノ

ニンゲンノウメキ

ニンゲンノ

出発の日の朝、彼は漸く兄に借金のことを話しかけてみた。

「あの本の収入はどれ位あったのか」

彼はありのままを云うより他はなかった。原爆のことを書いたその本は、彼の生活を四五ヵ月支えてくれたのである。

「それ位のものだったのか」と兄は意外らしい顔つきだった。だが、兄の商売もひどく不況らしかった。それは若夫婦の生活を蔭で批評する嫂の口振りからも、ほぼ察せられた。

「会社の欠損をこちらへ押しつけられて、どうにもならないんだ」と兄は屈託げな顔で暫く考え込んでいた。

「何なら、あの株券を売ってやろうか」

それは死んだ父親が彼の名義にしていたもので、その後、長らく兄の手許に保管されていたものだった。