Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
恋人に捨てられ、かなしみに悶えながら、でも一縷の望みをつなぎじっと待ちつづけている――彼は、彼女には、若い美しい彼女にだけは、そんな「不幸」は想像したくなかったのだ。
……しかし、おそらくそれ以外に、女の立ちつづけている理由はない。だんだんと、彼はそれを認めざるをえない気持ちに追いこまれた。女の「不幸」が、なまなましく、動かしがたいものになって、それが苦痛だった。いらいらして、彼は煙草をねじり消した。
吹きすさぶ刃物のような白い風の中に、女は、まだ諦めきれずに立っているのだ。胸が疼き、喉がしめつけられるような気がしてきた。彼は立ち上った。よし、どうしてもいってやるのだ、と彼は決心した。君、あきらめたまえ。はやく帰って暖まりたまえ。そして違う男をさがすことだ。いま、君のとるべき道は、それ一つしかないのだ。君みたいに若く、美しい女性が不幸だなんて、そんなことはゆるせない。君みたいな人が幸福になれなくって、いったい誰が幸福になれるというんだ。どこに幸福があるんだ。……さあ、不実な恋人のことなんて忘れるんだ。幸福になるんだ、君。
夕闇があたりをつつみはじめ、四辻が白っぽくその中に浮かんでいた。