Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
……
「お葬式だわ」
と、ヒロ子さんがいった。彼は、口をとがらせて答えた。
「へんなの。東京じゃあんなことしないよ」
「でも、こっちじゃああするのよ」ヒロ子さんは、姉さんぶっておしえた。「そしてね。子供が行くと、お饅頭をくれるの。お母さんがそういったわ」
「お饅頭? ほんとうのアンコの?」
「そうよ。ものすごく甘いの。そして、とっても大きくって、赤ちゃんの頭ぐらいあるんだって」
彼は唾をのんだ。
「ね。……ぼくらにも、くれると思う?」
「そうね」ヒロ子さんは、まじめな顔をして首をかしげた。「くれる、かもしれない」
「ほんと?」
「行ってみようか? じゃあ」
「よし」と彼は叫んだ。「競走だよ!」
芋畑は、真青な波を重ねた海みたいだった。彼はその中におどりこんだ。近道をしてやるつもりだった。……ヒロ子さんは、畦道を大まわりしている。ぼくのほうが早いにきまっている、もし早い者順でヒロ子さんの分がなくなっちゃったら、半分わけてやってもいい。芋のつるが足にからむやわらかい緑の海のなかを、彼は、手を振りまわしながら夢中で駈けつづけた。
正面の丘のかげから、大きな石が飛び出したような気がしたのはその途中でだった。