Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

四対零。ケイオーのリードで三回は終った。さあ、飯をたべよう。

振りかえって、ぼくは自分の強さの確認と、専心していたスポーツに一段落のついた爽快で無心な気分から、ほがらかに山口を見て笑った。すると、彼は意外にも、偶然ぼくと目を合わせたのを恥じるように、山肌に淡く雲影が動くような、無気力な微笑をうかべた。……彼の、そんな微笑なんて、ぼくには初めての経験であった。その笑顔には、いわば秘密の頒ちあいめいた暗黙の連帯と、それを恥じながら認める感情の手ごたえとが、たとえ力無くではあろうと含まれていたのだ。

――友人になれる。そんな無邪気な直観が、ぼくを陽気にした。ぼくはボールをポケットに押しこみ、拾った弁当箱を片手に、まっすぐに山口のほうに歩み寄ろうとした。

そのとき、弱よわしく視線を落した山口の目が、ぼくの弁当にふれると、急にそれを滑りぬけて流れた。はっと、はじめてぼくはあることに気づいた。そうだ、彼はいつも昼食をたべてないのだ。――昼休みのはじまるころになると、彼はいつでもスーッと部屋を出て行ってしまう。なんの気なしにその姿勢を憶えていながら、その理由にいままで気づかなかったぼくは、なんてバカだ。