Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
はりつめた気がふいに弛み、ぼくは大声をあげて笑った。……それがいけなかった。アルマイトの蓋をめくり、いつものとおり細いイカの丸煮が二つと、粟の片手にぎりほどの塊が六つ、コソコソと片寄っている中身を見たとき、ぼくの舌は、ごく自然にぼくを裏切ってしまっていた。
「よかったら、たべろよ。半分」
山口は奇妙な微笑をこわばらせて、首を横に振った。それは、意志的な拒否というより、まだ首の坐らない赤ん坊が見せるような、あの意味もなにもないたよりない反射的な重心の移動のように、ぼくの目には映った。
「たべなよ。いいんだ」
山口は振幅をこころもち大きくして、もう一回首を振った。膠着した微笑が消え、なにか、うつけたような茫漠とした表情になって、目を遠くの空へ放した。……激昂が、ぼくをおそった。せっかくの先刻の思慮分別や後悔の予感も忘れはてて、恥をかかされたみたいに、ぼくの頭と頬に血がのぼった。
ぼくは、くりかえし低く、強くいった。
「ぼくは素直な気持ちでいってるんだ。お節介なことくらい、わかってる。でも、腹がへってるんだったら、だめだ、食べなきゃ、食べなきゃ……、食べたらいいだろう? 食べたかったら」