Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのそうれつ
夏の葬列
山川 方夫
Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme
葬列は確実に一人の人間の死を意味していた。それをまえに、いささか彼は不謹慎だったかもしれない。しかし十数年間もの悪夢から解き放たれ、彼は、青空のような一つの幸福に化してしまっていた。……もしかしたら、その有頂天さが、彼にそんなよけいな質問を口に出させたのかもしれない。
「なんの病気で死んだの? この人」
うきうきした、むしろ軽薄な口調で彼はたずねた。
「この小母さんねえ、気違いだったんだよ」
ませた目をした男の子が答えた。
「一昨日ねえ、川にとびこんで自殺しちゃったのさ」
「へえ。失恋でもしたの?」
「バカだなあ小父さん」運動靴の子供たちは、口々にさもおかしそうに笑った。「だってさ、この小母さん、もうお婆さんだったんだよ」
「お婆さん? どうして。あの写真だったら、せいぜい三十くらいじゃないか」
「ああ、あの写真か。……あれねえ、うんと昔のしかなかったんだってよ」
洟をたらした子があとをいった。
「だってさ、あの小母さん、なにしろ戦争でね、一人きりの女の子がこの畑で機銃で撃たれて死んじゃってね、それからずっと気が違っちゃってたんだもんさ」
葬列は、松の木の立つ丘へとのぼりはじめていた。