Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

同じようにソフトをかぶり、左手に折詰めをぶら下げ、ふらふらと酔った足どりで歩いている。霧の深い夜で、ぼくは自分の影をみているのかと思ったくらいだ。

だが、そいつは影じゃなかった。ひょろひょろとぼくの前を歩いて行く。へえ、なんだかおれによく似たやつだな。そんな気持ちでついて行くと、なんとそいつはぼくと同じE棟に住んでいるらしいんだね。E棟の、いつもぼくが上るのと同じ階段を上って行く。

いくら団地だ、アパートだっていっても、同じ階段を上り下りする連中の顔ぐらいはいやでも憶えちゃうさ。だがぼくは、そんな男はしらない。ふしぎに思ったんだが、でも、その男はいかにも通いなれた階段だ、というふうに上って行き、三階の右側のとっつきの扉をたたいた。

思わずぼくは足をとめた。その扉は、ぼくの部屋の扉なんだ。だが、ぼくはもっとびっくりしなければならなかった。扉があき、そいつはいかにも疲れて帰宅した夫、という姿でその中に吸いこまれてしまったんだ。

一瞬、ぼくはそれが妻の愛人ではないのかと思った。当然だろう。それでぼくは現場をとっつかまえるつもりで、そっと跫音をしのばせて階段を上った。