Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

Lesen Sie 夏の葬列 (なつのそうれつ) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 60.161 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

「悲しみに負けたり溺れたり、でもそれはバカだ。どうしたって弘は生き返らない。ぼくたちは出直すんだ。愛しあって、支えあって、二人きりから、またやり直すほかはないんだ」

「人生に、やり直しはない、ないものに賭けるのは無意味だっていったのはあなたよ」

「良子、ぼくが、君を愛しているのは、よくわかってるはずじゃないか?」

男は腕に力をこめた。

「さ。行こう」

従順に歩きだして、女はふと、私たち、仲の良い夫婦に見えるわ、と思った。さっきのベンチの前まで来たとき、女は男の手を振りほどいた。崩れ落ちるように、ベンチに腰をかけた。

男も並んで坐った。また、眼鏡を拭きはじめる。女は、ぼんやりと男の顔をみつめた。

男はいかにも商家の若旦那ふうに色が白く、目のふちがぽっと赧い。眼鏡のない目の細い見慣れないその横顔に、女は、不意にひどくいやらしいタイプの三十男を見た。

女はすこし笑った。

「まるで昨日のことみたいだ」やや間を置き、男は呟いた。「たってみると、早いもんだな。あっという間に、もうすぐクリスマスだ」

「こんどのクリスマス、淋しいわね」

「そうだね。ほんとだ」と、男はいった。