Japanische Klassiker mit Furigana
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なつくさせんき
夏草戦記
山本 周五郎
Lesen Sie 夏草戦記 (なつくさせんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.107 Zeichen · 41 Bildschirme
という掟は決してきびし過ぎはしなかったのだ。
竹置をしゅったつした小谷隊は、鮫川の上流にあたる谿谷を渉っていった。弥兵衛は道が高くなっているところへ来るたびに、伸びあがってうしろを見かえり見かえりした。……やっぱり跟いて来る、あるときは黒ずむほどの樹立に蔽われた急な坂を、あるときは身の丈をぬく夏草にはさまれた蒸されるような埃立つ道を、また樹も草もなく、ぎらぎらと日光のじかに照りつける岩地を、ゆうべの初というあの娘がけんめいにこの隊のあとを追って来るのが見える。列の中へいれてやろうか、弥兵衛はなんどもそう思った、また荷駄の背へ乗せていってやろうかとも、――けれどこの隊の目的の重大さを思うとそれは不可能だった。道のぐあいで、ときどき娘の姿がしばらく見えないことがある、すると弥兵衛はほっとして、ああやっとあきらめたなと思うのだが、間もなく娘はまたあらわれる、背に遺骨の包みを結いつけ、少し前跼みになって、叢林の中から、崖のかどから、とぼとぼと、しかしけんめいに追って来るのがみえるのだった。磐城領の宮下という部落で、さきに来ていた相良官兵衛の尖隊と合し、そこで弁当をつかった、四半刻の足休めである。