Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつくさせんき

夏草戦記

山本 周五郎

Lesen Sie 夏草戦記 (なつくさせんき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.107 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

……官兵衛は起きあがろうとして二度ばかり頭をあげたが、間もなく大きく溜息のような呼吸をして、動かなくなった。

新九郎はそれでもなおしばらくようすを見ていたが、やがて大剣を押しぬぐって鞘へおさめ、元のところへ戻って銃を取って来た。それから死体をひき起してふところをさぐった、あまり話ごえが聞えなかったところをみると密書でもとり交わしたに違いない、そう思ったのである。ふところにはなにも無かった、燧袋をあけてみた、腹巻も解いてみた、そしてようやく、武者鉢巻の下から小さく折り畳んだ紙きれをみつけだした、しずかにひろげてみると、ごく薄く漉いた紙になにか書いてある、新九郎は銃の火繩をとり、その火を押し当てるようにして書いてあるものを検めた。それは大竹山から天王山までの道次を書き、宿営地と思えるところに朱を入れた図面だった、しかもその余白に註して、相馬利胤の部将近藤主膳が兵五百騎をもって常葉口に伏せているということが記してある、常葉口といえば此処から三里ほどさきの谷合で、もちろん明日の道次に当っている、「危ないところだった」と新九郎は肌寒くなる気持で呟いた。紙片をふところへ入れて立ちあがったかれは、すぐに官兵衛の死体を担ぎあげ、右がわの叢林へわけ入って百歩ばかり奥の笹簇の中へ隠して戻った、道の上にとび散った血潮のあとを